トップページ>食品汚染>メタミドホスを考える:103号(2008/2/29)

メールマガジンの公開
次々と報道される農薬・化学物質・カビ毒… 食の安全は崩壊したのでしょうか?
まぐまぐ殿堂入りメルマガ<危険かも?その食事!>を緊急公開します!


メタミドホスを考える

それはコープの冷凍餃子を食べた方の健康被害報道から始まりました。そして、残された餃子から農薬メタミドホスが検出され、残留農薬による中毒事故と誰もが思いました。私もそうです。すぐ、中国の農薬問題を扱った昨年発行のバックナンバーを無料レポートとして登録しようとしたくらいです。

ところが、その後、この中国産冷凍餃子の一件は"事故"から"事件"の様相を呈し、発生から1カ月が経ってもいまだ解決の兆しすら見えません。

このメルマガでは、中国産冷凍餃子事件については触れずに、次々と報道される農薬の数々を解説してまいります。まずはメタミドホスから!

メタミドホスはサリン系?

ウエブ上には、メタミドホスとサリンとは分子レベルで同じと言ってもいいほど近い物質である、という情報が散見されます。石原都知事がメタミドホスってサリンになるんだろ、と言ったとか、本当でしょうか?

メタミドホスは有機リン化合物です。1964年にドイツバイエル社が開発した殺虫剤です。多くの昆虫とダニ類に殺虫効果があり、中国だけでなく、米国、南米、オーストラリアなどで広く使用されていました。日本では高い毒性から登録されず、農薬、殺虫剤として使用されたことはありません。

一方、サリンは1938年、ナチス・ドイツが開発した有機リン化合物で神経ガスの一種です。有機リン系殺虫剤の開発過程で発見されました。あまりに毒性が強く、殺傷兵器以外の用途はありません。
オーム真理教がサリンを製造し、松本サリン事件、地下鉄サリン事件を起こしたことは記憶に新しいですね。

確かに似ているといえば似ていますが、メタミドホスってサリンになるわけではないし、全然、別のものです。ただ、有機リン系殺虫剤の開発過程でサリンが発見されたことは事実です。メタミドホスってサリンになるんだろ?という都知事の発言は、正しくはないですが、ニアミスではあります。

メタミドホスとは

ちょっとうっとおしいかもしれませんが、メタミドホスの物性です。まずは相手の性質を知っておきましょう。

・IUPAC名: ホスホルアミドチオ酸-O,S-ジメチル…国際基準に基づく化合物の命名
・分子式: C2H8NO2PS …炭素C 水素H 二酸化窒素NO2 リンP 硫黄S
・形状: 無色結晶 …冒頭の写真参照
・融点: 44.5℃ …融点が低く揮発しやすい
・比重(水=1):1.3
・水への溶解性:よく溶ける<
・主な用途: 農薬・殺虫剤
・留意点: メタミドホスとはアセフェート由来のメタミドホスを含むこと
 ⇒※「メタミドホスは日本にはホントにないの?」参照
・基準値: 0.1ppm以下
・体内への吸収経路: 吸入、経皮、経口摂取
・吸入の危険性: 20℃ではほとんど気化しないが、噴霧すると浮遊粒子が急速に有害濃度に達することがある
・短期暴露の影響: 眼を刺激。中枢神経系に影響を与え、痙攣、呼吸不全を生じることがある。コリンエステラーゼ阻害により、死に至ることがある。これらの影響は遅れて現われることがある。医学的な経過観察が必要である。
・長期または反復暴露の影響: 神経系に影響を与え、遅延神経障害を生じることがある。コリンエステラーゼ阻害剤。影響が蓄積される可能性がある

コリンエステラーゼとは神経組織、赤血球などに存在する酵素です。コリン作動性神経(副交感神経、運動神経、交感神経の中枢〜神経節)の神経伝達物質アセチルコリン(ACh)を酢酸とコリンに分解します。
有機リン系薬物中毒に陥るとこの値が低くなり、神経系に影響を与えることがあり、瞳孔収縮、筋痙直、発汗、吐き気、めまいなどの症状を起こし、死に至ることもあります。

メタミドホスは日本市場に初登場?

今回の中国産冷凍餃子の事件で一躍有名になったメタミドホスですが、日本初登場ではありません。過去にも頻繁に輸入時の検疫で不適合を食らっている残留農薬の常連なのです。
引用:ポジティブリストで残留農薬を調べてみよう;フジテレビ商品研究所・残留農薬データベース

メタミドホスは日本にはホントにないの?

「メタミドホスとは」の項に留意点: メタミドホスとはアセフェート由来のメタミドホスを含むこととあります。
これ、ちょっと要注意なのです。

アセフェートとは有機リン系殺虫剤です。商品名オルトランとして日本でも販売されているものです。農薬として広く使われており、劇毒区分は普通物なので家庭園芸用としても販売されています。

さて、アセフェートの代謝物としてメタミドホスが検出されることがあるのです。化学式を見比べてください。ずいぶん似ていますよね。
平成9年度の全国の食品中の残留農薬調査結果において、アセフェートとメタミドホスは検出頻度が比較的高い農薬であると報告されています。アセフェートは8番目、検出率 3.86%、メタミドホスは13番目、検出率 2.83%です。

メタミドホスは毒性が強いので日本では使用されていない、というのはウソではありませんが、メタミドホスが日本の農作物からは検出されないというのはウソです。
日本の野菜もメタミドホスに関して安心ではない!のです。

編集後記:「今日は2月29日」

こんにちは、ショーンです!
今日は2月29日、うるう年のうるう日ですね。4年に一度しかない貴重な日です。
今日お誕生日の方は、うるう年でない通常の年には2月28日が終わった日、つまり3月1日に便宜上、誕生日を祝われるそうです。
そうそう、うるう年は基本的には4で割り切れる年ですが、2000年はうるう年ではありませんでした。100で割り切れる日はうるう年ではないのです。

この日が誕生日の有名人はというと、結構おられますね。1461人に1人の確率なのですが…

・1908年2月29日:マキノ 雅弘(映画監督、故人)
・1940年2月29日:原田芳雄(俳優)
・1948年2月29日:赤川次郎(推理作家)
・1964年2月29日:羽仁 未央(はに みお)(メディアプロデューサー)
・1968年2月29日:飯島直子(女優)
・1968年2月29日:峰竜太(俳優)

英語では"leap year"。"leap"とは「跳ぶ、跳びはねる」という意味で、毎日新聞の「余禄」によると、語源は通常の年は365日なので52週+1日、つまり次の年、曜日がひとつだけずれます。その月日が月曜だったら翌年は火曜というわけです。ところがうるう年の翌年はひとつ飛んで水曜になります。だから"leap year"、う〜ん、なんだか日本人の感覚とは違いますね。

では、うるう年の語源は?
うるうは閏と書きます。閏年は本来、「じゅんねん」と読むべきなのを、潤(うるう)との混同からうるう年と呼ぶようになったそうです。
では、「閏」とは? 王が門の中に閉じこもり、政務を執らないことに由来するそうです。

うるう年は夏季オリンピックの年、でも北京で無事にオリンピックは開けるのでしょうか?冷凍餃子事件を、中国当局はとうとう日本のせいにしてしまいそうです。


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