トップページ>愚かしい医療制度>愚かしいメタボ検診:105号(2008/3/26)

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愚かしいメタボ検診

メタボリックシンドロームによるいじめ

いよいよ新年度、つまりこの4月からメタボ健診が始まります。
正式には特定健診・保健指導と呼びます。保険者(健保組合や各自治体)に実施が義務づけられます。対象は40〜74歳、復囲が男性85cm、女性90cm以上など一定の条件を満たすと、生活習慣改善が指導されます。

余計なお世話、自己責任で太ってるんだ、と言いたいところですが、このメタボ健診には世にも恐ろしいペナルティが用意されています。それが、あの悪名高い後記高齢者医療制度への拠出金の増額です。これが保険者、すなわち健保組合や各自治体に課せられます。連帯責任だという訳です。いまどき…

で、間違いなく職場ではメタボいじめが始まります。お前のせいで私の保険料が引き上げられたと。会社も負担が増えるのでメタボ・リストラなどが始まるかもしれません。

メタボ健診の実際

特定健診は現行の健診の項目に腹囲測定が加わります。現在の健診では、異常が見つかっても「要精密検査」などと通知されるだけですが、特定健診ではメタボかその予備軍と判定されると、生活習慣の改善指導が企業の健保組合などに義務づけられます。保健師や管理栄養士から、食事や運動の指導(保健指導)を受けることになります。

予備軍には原則1回の面接で動機づけが行われ、メタボには面接の後、電話やメールなどで3〜6か月間、継続的に指導が行われます。

厚労省の目論見では、特定健診の対象者は約5700万人、男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボまたは予備軍に当てはまり、合計約1900万人が指導を受けます。そして2015年度までに糖尿病などの生活習慣病とその予備軍を25%減少させ、25年度には医療費を2兆円削減するのだそうです。

医療費の推移

メタボ健診と後期高齢者医療制度にどんな関係が?

上のグラフを見ても明らかなように、医療費を押し上げているのは老人医療費です。
だから、厚労省は老人医療費を目の仇にしています。悪名高い後期高齢者医療制度を制度化したのでしょう。

後期高齢者医療制度も4月から実施されますが、現行制度との大きな違いは、家族に扶養されている人を含めてすべての後期高齢者(75歳以上)が保険料の負担を求められ、大多数が「年金天引き」で保険料を徴収されるようになります。老人医療を他の保険制度から、すなわち同居の家族からも切り離したいのですね。

あまりの悪評の高さから政府と与党は半年間の保険料を免除しました。だったら、こんな制度、作るなと言いたい! 75歳以上の老人を後期高齢者と呼ぶことも失礼である、と思います。これは実質、高齢者の年金を減額し、医者へ行かずに死ねという制度です。

そして、この後期高齢者医療制度へ各医療保険から拠出される支援金を、メタボ健診の受診率や保健指導実施率などにより、厚労省が定めた目標値の達成状況によって加減額されるのです。

いかにも机上でキャリアがはじいたソロバン勘定だという気がします。
大阪府の橋下知事にかみついた女性職員じゃあありませんが、「あなたの言ってることはね、肥満者のいる職場をバラバラにし、家族と老人を切り離すものだ!」と叫びたくなりますね。

そもそもメタボ健診の復囲測定に意味はあるのか?

一方で、この基準にIDF(国際糖尿病連合会議)が待ったをかけました。男性90cm、女性80cmが新しい日本人向けの基準値だそうです。
しかし、メタボ健診の腹囲は専門家の異論、ブーイングの中、根拠も定かでないのに男性85cm、女性90cmのまま運用が始まります。

肥満が生活習慣病の温床となることは間違いありません。でも、腹囲だけで肥満を判定できるのでしょうか? 個人差が相当あると思われる指標なのに…スクリーニングテストだと割り切っていいのか?

医療機関への受診を勧められる基準 また、医療機関への受診を勧められる基準というものがあります。これもメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の基準とは異なる独自のものです。復囲がオーバーし、もう1項目が該当すれば受診が勧められます。そもそもメタボとは復囲を含む3項目以上が該当した場合をいうのではなかったのか?

メタボリックシンドロームについては、このレポートでも過去に何度か取り上げましたので、詳細は割愛します。詳細をお知りになりたい方は、下記の無料レポートをダウンロードしてください。私、ショーンの作品です。
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  『あなたは大丈夫?夫婦でチェック!メタボリックシンドローム』

メタボ健診は成功するか?医学界より厳しい批判

この厚労省の特定健診による医療費の削減の皮算用を疑問視するお医者さまは、とても多いのです。

東海大医学部の大櫛陽一教授の試算では、今回の基準では男性の94%、女性の83
%が何らかの異常を指摘されるとのことです。そして、受診者のうち男性の6割、女性の5割は医療機関の受診を勧奨されるといいます。
すると、特定健診対象者5700万人のうち3000万人が受診することになり、診察料だけで5兆円、投薬すればさらに費用がかさみ、医療費はむしろ増える、と予測します。

また、日本糖尿病協会の菅原正弘理事は、糖尿病は遺伝的要素もあり、腹囲が基準以下でも糖尿病の恐れのある人を見逃す可能性がある、と指摘します。これはメタボが話題になった頃からの糖尿病専門医の変わらぬ指摘です。

メタボ健診がかえって医療費を押し上げたとき、誰が責任をとるのか? そして健診後の保健指導というのは、また新しい役人の天下り先をたくさん作るはずです。すでにITソフトウエア業界が、健診データベースやレセプトシステムの整備へ向けて活発に動いています。さらに、食事指導サービス、フィットネスクラブ、ITヘルスケアサービス企業や食品メーカーらが新たな事業展開を始めようとしています。新しいことが始まるといつものパターンですね。私たちはしっかり見張らないと、また役人と企業に食い物にされます。

編集後記:映画『Sweet Rain 死神の精度』

いやあ、おもしろい映画でした。妻に誘われて見た映画ですが、大当たりでした。

しっかりした原作(小説)があり、ストーリーが骨太です。金城武と小西真奈美、それに富司純子との共演もとても見ごたえがありました。日テレ系の映画ですが、テレビ屋の仕事をはるかに超え、なかなかの仕上がり。現時点で私にとって今年一番の映画です。

ネタばれにならないように簡単にご紹介します。すごいトリックが隠されていますが、それは映画館であなたが見つけてくださいね。

金城武は死神。時空を行き来する存在です。黒い犬といつも行動を共にし、不慮の死をする人の死を「実行」するか「見送り」かを7日間で判定するのが仕事です。時間を越えた存在なので、流行り言葉や流行には疎く、でも"ミュージック"が大好き。妙にきまじめで、浮世離れした死神像がコミカルです。彼が現れるときはいつも雨。

ストーリーは3つの話がオムニバス風に進みます。ああ、そういう映画なんだ…

第1話はコールセンターでクレームの受付係の仕事をする地味な若い女(小西真奈美)のお話。小西真奈美はノーメークだったそうですが、不思議なリアリティで好演です。いつも「実行」を判断してきた金城武が、なぜか「見送り」とします。彼女の声と彼の"ミュージック"好きがキーワードです。

第2話はやくざの話。急な画面の展開に面食らいますが、任侠に生きる古いタイプのやくざと彼をしたうチンピラが抗争に巻き込まれます。結局、やくざは抗争を生き抜きますが、翌日に死にます。チンピラが生き残って…

第3話は老女が経営する海辺の理髪店。老女には富司純子が扮します。店に現れた金城武を見て、「あんた、死神だろ」と言い当てます。なのに金城を恐れる風もなく、最後の願いだから子供集めてくれと頼む富司純子。店は子供で満員になりますが、その中に彼女が昔、捨てた息子のこども、つまり彼女の孫が会いに来たのです…

店でかけられたCDは"藤木一恵"のものでした。そして藤木一恵とは… 最期の日、金城武は富司純子と海岸で初めて青空を見ます。

死と真っ向から向かい合いながら、なんと軽やかで爽やかささえ覚えるエンディング。エンドロールでもラストに少し流れた曲が演奏されます。誰だろ、歌ってるのは? エンドロールの最後に、歌 藤木一恵 と表示されます。ええ、小西真奈美が歌っているのですね。

この映画、お薦めします。


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