トップページ>愚かしい医療制度>後期高齢者医療制度を考える:106号(2008/4/16)

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後期高齢者医療制度を考える

後期高齢者保険証

前号でも後期高齢者医療制度についても少し触れました。
4月からスタートしたこの制度、肝心の保険証が多くの方に届きません。ダイレクトメールだと勘違いして捨てた方、確実に本人に届くよう「転送不要」で郵送したため、住民票と異なる施設や息子さん宅で過ごす方々に届かなかったり、さんざんです。

そして、いよいよ後期高齢者医療制度の保険料が、4月15日から75歳以上の方の年金の中から天引きが始まりました。多くの記録を消失させてきちんと年金を払ってもいないのに、取り立てるのは待ったなしです。しかもその金額を間違えたり…

改めて後期高齢者医療制度とは何なのか?医療費は低減できるのか?高齢者や現役世代のは負担は軽くなるのかなど、検証してみたいと思います。

後期高齢者医療制度、政府の言い分

「政府インターネットテレビ」で舛添大臣が後期高齢者医療制度に関するメッセージを出しています。6分46秒ありますが、ご自分の目と耳で確認したとおっしゃる方はこちらからどうぞ。⇒舛添大臣からのメッセージ

このメッセージをまとめてみますと

  • 高齢者は病気にかかりやすい。生活全体を見る医療をやりたい
  • 高齢者を担当する医者(かかりつけ医)を決める
  • 窓口での負担1割は従来通り変わらない、自己負担1割、現役4割、税金5割だ
  • 保険料は減る
  • 扶養者だった人は保険料が半年タダ、その後も軽減措置あり
  • 組合健保と違い、国民健康保険は病気になりやすい人をかかえこんでいる
  • 国民皆保健はいい制度、これを守りたい
  • 健康保険は2つからひとつになり、年金から天引きしてくれるから便利
  • 介護保険料とあわせて年金の半分を超える人は減免措置
  • 保険証が届いていなくても、今までの保険証で医療は受けられる
  • 企業の組合健保の組合員は若く病気にもならないが、国民健保は病気になりやすい人ばかりをかかえこんでいる、国民皆保健を守りたい、このあたりに厚生労働省の本音がのぞいています。

    新設の後期高齢者診療料に隠された悪意

    舛添大臣は触れていませんが、この制度に基づいて後期高齢者診療料が新設されます。後期高齢者診療料とは、75歳以上の糖尿病などの慢性患者が主治医を指定し、月6000円の定額で外来診療が受けられる仕組みです。検査や画像診断などは何度受けても、患者の負担は1割の600円です。

    定額制をとるか、診療内容に応じた従来の出来高制をとるかは、患者の同意を得て医療機関が選ぶことができます。膨らみ続ける高齢者医療費を抑制するねらいがあります。患者は600円で診療が受けられます。

    月6000円と上限を切られて満足な治療が受けられるのでしょうか?また、こんな減収につながる医療をお医者さまたちが受け入れるのでしょうか?
    案の定、後期高齢者診療料の登録をする診療所がほとんど現れず、各都道府県の医師会は「年齢により人間の価値を差別する制限医療」であると、強く反対を表明しました。

    この制度が医療費の抑制だけにターゲットが合わされたものであることは疑うべくもありません。確かに必要もないのにバンバン薬を出し、薬価を引き上げている開業医にも大いに問題はあるのですが、月額6000円ぽっきりの定額診療で十分な診療がうけられるとは到底思えません。
    スタート時こそ定額制か出来高制かは医者と患者に決定権がありますが、そこには団塊世代が75歳を迎えるときの医療費抑制のための改革の意図が隠されています。

    団塊の世代が後期高齢者になるとき

    日本の人口ツリー

    これは日本の人口ツリーです。2000年の実績データと2025年の推定データです。男性のみ掲げています。オレンジ色の太いラインがいわゆる団塊世代のピークです。昨年、多くの方が定年を迎えておられます。

    ピンクの塗色部が75歳以上の"後期高齢者"です。それにしてもいやな呼び方ですね。これについてはのちほど。いずれにしても団塊の世代が年齢を重ねるごとに、日本のさまざまな社会システムは変更を余儀なくされるわけです。
    そして団塊の世代のピークが75歳に到達するのが2022年なのです。この2022年を乗り切るために、官僚は後期高齢者を切り分けたのです。
    私にはどうしても切り捨てたとしか見えません。
    後期高齢者保健制度

    そもそも後期高齢者という呼び方

    そのほか、報道されている後期高齢者医療制度に関する報道を羅列してみます。

  • 70〜74歳の前期高齢者は原則2割負担とこれまでの1割から負担増となる
  • 7割の人の保険料が安くなるはどうやらウソ(都道府県のフトコロ事情に依存)
  • 低所得者ほど保険料が安くなる、もどうやらウソ
  • 介護保険を年金天引きしたら意外と抵抗が少なく、官僚が味をしめた
  • 政権与党である自民党がこの制度の見直し議連を立ち上げた
  • 日本語には言霊(ことだま)が宿っています。いえ、宿っていました。
    言霊とは言葉に宿ると信じられた霊的な力です。良い言葉を発するとよいことが起こり、不吉な言葉を発すると凶事がおこるのです。

    私のメルマガも大いに反省をしなければなりませんが、それにしても後期高齢者という言葉はひどい!高齢者の後期、とはあまりな呼び方です。姥捨て山と野党が揶揄し、あまりの非難に政府はあわてて長寿医療制度などと呼びだしました。

    それにしても2年も前に決めた法律(小泉改革とはこんなものだったのです!)が、なぜこんなにバタバタと問題だらけで施行へ向かうのでしょうか。日本の官僚はこれほど馬鹿(言霊、ゴメンなさい)だったのでしょうか。戦後の成長を支えたさまざまなシステムが、制度疲労を起こして寿命を迎えた、そんな気がしてなりません。新しいシステムを生み出す力が今の日本にはないような…

    編集後記:おばの法事にて

    おばが2月に亡くなりました。99歳、数え100歳で安らかに逝きました。
    いとこ夫婦と一緒に長らく東京暮らし。法事と納骨がふるさとの奈良県で行われました。おばの遺骨は二上山が正面にきれいにみえる大和高田の丘陵に納められました。

    法事が終わって膳を囲み、久しぶりの親戚と話が弾みました。
    こどもの頃、母の実家であるおばの家に何日か泊めてもらうのが楽しみでした。
    古い昔の田舎屋敷で、庭の築山に穴があいていて、あそこに昔、ウサギが棲んでたと母から聞かされたことや、母屋から離れた暗い便所に、夜、一人で行けず、おばを起こして連れていってもらったことなど、なつかしい思い出が次々と湧き上がってきて、お酒が進みました。

    法事をしていただいたお坊さまは、お経の大部分を口語訳してあげておられました。小学生にお経は何を言ってるか分からん、そんなんあげてて意味あるの?と言われたのがきっかけだそうです。
    お酒が好きだ、と宴席で耳にしたので、お酒を注ぎにいくと、ワシはC型肝炎やから飲めんのや、とのこと、私もそうだ、インターフェロンで治った、という話をすると、C型肝炎が治ったというヤツを初めて見た、とすっかり意気投合。

    おばのおかげで久しぶりに親戚が一同に集まり、お坊さまとも縁がつながりました。きっとまた、豪快なお坊さまに会いに、あのお寺に遊びにいくと思います。


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