トップページ>食品偽装>事故米偽装転売の悪意:113号(2008/9/15)

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次々と報道される農薬・化学物質・カビ毒… 食の安全は崩壊したのでしょうか?
まぐまぐ殿堂入りメルマガ<危険かも?その食事!>を緊急公開します!


事故米偽装転売の悪意

食用に回せない事故米が偽装転売され、焼酎や日本酒、おかきなどの原料、果ては給食などにそのまま出回ってしまいました。事故米からは有毒なカビや中国産餃子で問題になったメタミドホスなどの残留農薬が基準値を超えて検出されており、もはやこの国は中国をとやかく言えるのかという非常事態です。

写真は事故米が混入した介護老人保健福祉施設の給食の赤飯です。
今週は官民入り乱れて迷走する、中国よりお粗末な日本の食の状況です。

食用偽装転用された事故米のリスク

今回の事故米偽装転売のプロセスは、マスコミが連日報道を続け、警察が捜査を開始しました。まだまだ事故米のリスクは広がる気配です。なぜ、こんなことが、はマスコミにお任せし、報道されている有害物質のリスクを改めて整理してみましょう。

1.有機リン系殺虫剤「メタミドホス」:中国産冷凍餃子から検出された例の農薬です。
2.カビ毒「アフラトキシン」:ある種のカビが作り出すカビ毒で地上最強の天然発がん物質といわれます。過去に急性中毒で100人以上が死亡したインドの事件やケニアでの中毒事故があります。
3.殺虫剤「アセタミプリド」:新しいニコチン様物質で偽の神経伝達物質として、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合して神経を興奮させ、毒性を発現させます。

1.有機リン系殺虫剤「メタミドホス」とは

メタミドホスの主な物性と、その有害性をまとめてみました。

  • 融点: 44.5℃ …融点が低く揮発しやすい
  • 水溶性であり、水によく溶ける
  • 基準値: 0.1ppm以下
    ※日本での米(玄米)に対する基準は0.01ppmが設定されています(ppmとは100万分の1のこと。1ppmは1kgに1mgの物質が含まれる濃度)。
  • 短期暴露の影響: 眼を刺激。中枢神経系に影響を与え、痙攣、呼吸不全を生じることがある。コリンエステラーゼ阻害により、死に至ることがある。これらの影響は遅れて現われることがある。医学的な経過観察が必要である。
  • 長期または反復暴露の影響: 神経系に影響を与え、遅延神経障害を生じることがある。コリンエステラーゼ阻害剤。影響が蓄積される可能性がある

コリンエステラーゼとは神経組織、赤血球などに存在する酵素です。コリン作動性神経(副交感神経、運動神経、交感神経の中枢〜神経節)の神経伝達物質アセチルコリン(ACh)を酢酸とコリンに分解します。
有機リン系薬物中毒に陥るとこの値が低くなり、神経系に影響を与えることがあり、瞳孔収縮、筋痙直、発汗、吐き気、めまいなどの症状を起こし、死に至ることもあります。

2.カビ毒「アフラトキシン」とは

自然界でカビ毒・アフラトキシンを生成する主なカビは2種類のコウジカビです。アスペルギルスフラバス(写真)とアスペルギルス パラシティカスです。
日本で古くからコウジカビとして使用されてきたアスペルギルス オリゼは、アフラトキシンを作らないことが確認されています。
つまり、アフラトキシンは海外から持ち込まれるのです。

アフラトキシンは多くの種類の動物や魚に対して非常に強い急性毒性と発ガン性を有することが判明しています。
昭和40年代後半からインドやケニアでアフラトキシン中毒と考えらる事件が発生しています。2004年にもケニアで高濃度のアフラトキシンに汚染されたトウモロコシにより、120人が急性肝炎等の症状で死亡しました。

また、わずか15μg/kg(μg:百万分の1g)のアフラトキシンを含んだ飼料で飼育されたラットは、すべて肝臓ガンになりました。
亜熱帯地域の国々で行われた疫学調査では、アフラトキシンの摂取量と原発性肝臓がんの発症数に高い相関が見られました。また、世界保健機関(WHO)による発がん性評価でも、アフラトキシンは人および動物に対して最高ランクに位置付けられています。

3.殺虫剤「アセタミプリド」とは

殺虫剤「アセタミプリド」は、野菜、果実などに広く使用されている殺虫剤ですが、日本では稲に使用してはならない農薬です。

アセタミプリドは昆虫神経のシナプスに結合し、神経の興奮とシナプス伝達の遮断を引き起こす殺虫活剤です。主な商品名は「モスピラン」で、園芸用殺虫剤として多くのメーカから広く販売されています。あなたの家庭にもあるかもしれません。

日本での米(玄米)に対する基準は、メタミドホス同様、0.01ppmが設定されています(ppmとは100万分の1のこと。1ppmは1kgに1mgの物質が含まれる濃度)。

内閣府食品安全委員会では、毎日一生涯食べ続けても健康に悪影響が生じないと推定される量である一日摂取許容量(ADI)として、メタミドホスは0.0006mg/kg体重/日、アセタミプリドは0.071mg/kg体重/日としています。

いったい誰が悪いのか?

三笠フーズが今回の事件の元凶ではありますが、どうしても一番悪いやつは農林水産省の役人だという気がしてなりません。

そもそもカビが生えた米や農薬が基準値を超えた米をなぜ輸入したのでしょうか? 相手国に返却すべきものでしょう。ウルグアイラウンドに従い、規定量の輸入実績が欲しかった、送り返して再輸入して再検査する手間をサボった、としか見えません。

その結果、倉庫には食用にならない『事故米』と称する不思議な輸入米がストックされることになりました。もちろん、倉庫代もかさむわけです。
そこで、農水省は非食用として事故米をメーカに買い取らせようとします。工業用の糊やデンプンの材料としてメーカに買い取らせます。

しかし、もはや米は工業用糊の原料としては利用されておらず、タピオカやコーンスターチが使われています。そのことを農水省は知らなかったで通そうとしています。
また、三笠フーズの買取量は事故米の1/3に及び、買取価格は当時の相場を超えていて、業界からはなぜあんな値段で買い取れるのかと訝られていたといいます。

さらに農水省の出先機関は検査日を通知し、いつも同じ時刻午前10時から開始し、12時には検査を終えていたそうです。偽装を見抜けなかったというより、見抜く気はなかった、のでしょう。

さらに、当初、事故米の販売先の公表を農水省は拒みました。消費者のことなど、彼らの眼中にないのです。批判が高まり、ようやく公表された販売先は二転三転し、誤りもあり、実にいい加減なものでした。

農水省に責任はない!と当初、次官は言い切りました。じたばたしていない(変な日本語、じたばたするばと言いたかったのでしょう)と農水相は言い放ち、後に引責辞任をいたしました。でも、引責というより、総選挙をにらんだ投げ出しだとの批判が強いです。

こんな農政行政を私たちはいただいているのです!

編集後記:源流が汚染されれば下流はひとたまりもない

今回の食品偽装の発端となった三笠フーズという会社、社長の冬木三男は商社マンから身を起こし、この業界で会社を起こした、その接待攻勢は業界でも話題であった、とのテレビ報道が気になりました。

少しウェブで調べてみると、その商社とは安宅産業であり、1977年伊藤忠商事に吸収合併されて消滅したため、独立して三笠フーズを設立、その20年後の1997年経営難に陥った米穀・飼料販売会社「宮崎商店」を救済合併した、との情報を得ました。ただし、この情報源の信頼度は高くはありません。

安宅産業といえば、総合商社として戦前より軍部にも隠然とした力を持ち、戦後、石油精製事業に手を出して破綻をした会社です。冬木三男が安宅に在籍していたとして、ここで何を学んだかは不明ですが、三笠フーズには役人の接待のウワサが絶えないようです。
ここに「宮崎商店」の宮崎なる男が絡むことで、「事故米」いな「汚染米」を安く仕入れて食用として販売するというとつてもない悪事が始まったのでした。

彼らの利益はたかだか5千万円程度、一方、この原料米を加工したために被害を蒙った加工メーカの被害はおそらく数十億円規模になるでしょう。

この種の問題は内部告発や匿名のタレコミで当局に通報されることが一般的です。でも、ミートホープのときも通報は保健所から会社幹部に筒抜けだったようです。こんな社会なのです、日本は…

源流を担うメーカはより厳格に自らを律し、また、行政も源流を担うメーカをこそ、厳しく監視指導しなければなりません。水源が汚れれば、下流でおそろしいほど多くの人間が被害を受けます。総裁選ごっこをしているときでしょうか。


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