トップページ>血液と病気>血液サラサラのウソホント:92号(2007/10/14)

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次々と報道される農薬・化学物質・カビ毒… 食の安全は崩壊したのでしょうか?
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血液サラサラのウソホント

ドロドロ血液とサラサラ血液

「このブレスレットを身に着けると血液がサラサラになる」という、こんな子供だましで約8200人が被害に遭い、総額約24億5000万円が搾取されました。詐欺の手口は尽きず、騙される方も多いのですね。
今回の手口は、販売現場で「血液検査」と称して顕微鏡まで使って健康不安をあおった、という悪質なものです。

さて、こんな写真、テレビでもいやというほど流されました。これはウェブ上にあったある水を飲んだケースと飲まないケースと紹介されていたものです。水分を摂らなければ血液の粘度は上昇するのは当たり前です。
そもそもそもそも血液のサラサラ、ドロドロにはっきりした医学的根拠はないのです。

血液ドロドロ写真の無意味さ

血液の写真は、撮り方によってドロドロにもサラサラにも見せることができます。血液ドロドロ写真の欺瞞を暴きます。

  • サンプルの血液量を増やすと赤血球が数珠状にくっついた状態に見える
      ⇒サンプルの血液量が多いと赤血球が何層にも重なりくっついて見える
       顕微鏡で血液を見るにはプレパラートではさみ血液を薄く広げるべき
  • 血液量を減らすと赤血球がバラバラに見える
      ⇒顕微鏡視野内の赤血球濃度が希薄になるから
  • 採血後3分程度で赤血球は凝固を始め、ドロドロに見える
      ⇒誰の血液でもドロドロに見せられる
  • 水を飲んだかどうかでも血液の粘度は変わってしまう

「血液サラサラ」イメージの暴走

最初に「血液サラサラ」をテレビで取り上げ、ブームの火付け役となったのはNHKの『ためしてガッテン』のようです。1997年、今から10年前のことです。
現在、ウェブ上でこの初回放映の内容を知ることはできませんが、その後も繰り返し取り上げられ、他の健康バラエティ番組もこぞって追従しました。

あの「発掘!あるある大事典」も納豆の酵素菌がつくる酵素ナットウキナーゼが血栓を溶かして血液をサラサラにする、という放映をしました。試験管内に人工的な血栓を作り、そこにナットウキナーゼを入れて血栓を溶かすというものです。視覚効果バッチリですが、ウソがありました。ナットウキナーゼは粒子が大きく、小腸から吸収されて血管内に入ることはないのです。
この放映は2001年のことですが、すでにねつ造は始まっていたのですね。

血液検査の画像

健康バラエティ番組の欺瞞、いい加減さは今回のテーマではありません。ただ、こんなふうにして「血液サラサラ」は健康の象徴となり、「血液ドロドロ」は病気の予兆という概念がしっかり定着しました。今もほとんどの日本人がそう信じていることでしょう。
「血液サラサラ」という言葉とスリットをすり抜ける血球のイメージが、あまりにも強い力を持ち、大衆を支配したのです。そしてこのイメージがコピーされ、氾濫することで"真実"となってしまいました。いつものパターンです。

「血液サラサラ」研究状況

血液検査の提唱者

「血液サラサラ」の提唱者は菊池佑二理学博士です。ええ、彼は医学者ではないのです。彼が提唱したのは、個人の血液の性状を計測し、健康状態を評価する毛細血管モデル装置です。マイクロチャネルアレイ(単結晶シリコン基板に加工した微細な流路)を毛細血管のモデルとし、血流を計測できるものです。テレビでよく見るアレです(上の画像)。

ただ、この分野は手をつける医学者が少なく、まだ学術的に定説となりうる結論は出ていないようです。血流と食事、生活習慣などとの基礎データは、理学博士である彼が採取した健常者1500人程度のデータしかないようです。
このデータをもとに、虚血性心疾患のリスクファクターと血液の流動性に相関があると主張しており、テレビが飛びついた、というのが現時点での事実です。

いずれ、菊池説は医学的に検証され、成否が判断されるでしょう。
現時点で高脂血症(「脂質異常症」と最近改められました)と「血液サラサラ」の相関に根拠はなく、菊池博士も血液はサラサラ、ドロドロが問題なのではなく、よく通るか詰まるかということが重要だと述べています。
油がとけて、血液がドロドロになっているというようなイメージは間違いで、脂肪成分は血液には溶けず、たんぱく質に包まれて循環しているおり、採血管で採血して振ってみれば、全員がサラサラだ、と述べています。(参考:血液の性状を計測し、疾病を防ぐ

したがって、巷にあふれる「血液サラサラ」を高脂血症(脂質異常症)と混同して(あるいは故意に混同させて)説明している健康本や健康サイトにはご注意ください。当然、物販で血液サラサラを見せるような業者には近づいてはなりません。

来週のテーマはC型肝炎

血液サラサラを扱ったので、次回はC型肝炎をテーマにしてみたいと思います。少し食事から離れてしまうかもしれませんが、血液製剤フィブリノゲンの投与による集団感染、訴訟はあなたの問題であるかもしれません。
日本人のC型肝炎キャリアは全人口の1%強、150万人といわれています。フィブリノゲンの投与を受けていない方も、オレは男だから、と安心しておられる方も、注射器が完全に使い捨てになる以前に予防摂取を受けられた方は、キャリアになっている恐れがあります。

私もC型肝炎で、半年のインターフェロン投与を受けました。手術も輸血の経験も皆無だったのに、です。
次週はC型肝炎を扱います。

編集後記『知ることは力、だなぁ』

先日、あるドッグカフェの主催でワンちゃんのヘアケア・セミナーに参加しました。
講師はペット用に良質のシャンプーなどを製造・販売されている会社の社長さん。一般向けにお話をされることはめったにないそうです。

で、そのお話の内容ですが、私には衝撃的なものでした。いきなり、見せられた皮膚断面は人間とまったく同じ。そして、犬も汗をかくのですよ、という意外な事実!
犬は汗をかかない、だから暑いと舌を出して体温を下げるのだ、と理解していました。犬も汗をかくのだそうです。しかも人間の場合、脇の下や陰部など特定の部位にしかないアポクリン汗腺が全身に分布し、しっかり機能しているため、皮脂と混ざり合って特有のニオイにつながるのだそうです。
だから、シャンプーは少なくとも週1回、オイルを含まない弱酸性シャンプーでしっかり洗わないといけないのだそうです。洗いすぎると皮脂が落ちてよくない、は間違い!

食事も驚きでした。ドッグフーズだけ与えるのがいい、というのは間違いで、ビタミンや酵素が十分摂取できないので、野菜やささみ・馬肉をバランスよく与えないといけないそうです。最近、アトピーの子が増えているのは、交配のさせ方もあるけれど、食事のバランスのくずれも大きな原因だそうです。

改めて、知ることは力、だと思いました。そして、正しい情報のありかを見つける力、正しい情報はどれかを見分ける力が重要だと感じました。
このメルマガがそんな方向を指し示せるよう、これからも努力を続けたいと思います。



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